地域色が無くなった街並み
最近の日本の街並みは地方色がなくなったように感じます。地方風土に合った住宅様式やそれを取り巻く道路や街路樹、河川や田園、家屋など、地域の原風景を車窓から楽しんだ時代が懐かしく思い出されます。
今は地域を問わず、建ち並ぶ住宅も形もサイズも色も、皆同じような顔で同じ向きに並び、どこでも見られるような街並みがどこへ行ってもそれが当たり前のように並んでいます。
都市周辺部には高級住宅街と呼ばれている地域があります。こういった地域を車で移動していても、奇抜な外観デザインと派手な色使いをした建物や、圧倒的な質量感の建築物は確かにありますが、「バランスの良い美しい立姿の建物」というものを見かけません。
地域を問わず、民家や町家など、昔の木造の建築物は小さくても生活感の味があり、何といってもそれなりの優しさと美しさを備えていたように思います。
かつては街並みにもそれぞれ地域色があり、どの地方にもその地域文化を感じ取れる風情が漂っていました。しかし今は、地域色のある美しい街並みは、特に保存指定されている区域以外では、すっかり見なくなりました。
これが高度成長期から量産され続けてきた住宅と街の形であり、実態なのです。
材料仕様も、用途に特化して開発された無機質な建材製品が続々と登場して、建築物の内外装を問わずあらゆる箇所が既にこれら商材で埋め尽くされている現況があげられます。
見える範囲では木材や土、石のような自然素材がすっかり姿を消してしまっているのです。
何故自然素材は使われなくなったのか?建築材料から木材はじめ土、石など自然素材が遠ざけられ使われなくなったことは、これが果たして「文明の進化による自然な時代の流れ」として素直に受け止めるべきなのでしょうか?